2009/06/25

日本は医療の質評価でアメリカを抜ける

そんな気がしました。

何をどう抜くんだ、って話ですが。

確かに、質評価の方法論はアメリカがかなり進んでいます。
何を分母に持ってきて、何を分子にして、とかの話については。
年数にして、20年くらい。

ただ、この方法論の多くはPublic Domain扱いということで
公にされているので、実はキャッチアップは不可能ではありません。

NQFが承認した指標群をベースにして、評価したい指標について
開発者が公表している詳細を探せばいいのです。


評価の方法論でキャッチアップできたら、
後は、実際の評価と、結果の活用です。

僕はここで日本がアメリカを抜ける、と確信しました。
なぜか。

それは、アメリカの医療制度がかなり
Fragmented(断片的)な状態になってしまっているからです。


例えば、厚労省にあたるCMSは、
何だかんだいって65歳以上の高齢者のデータしかもっていません。
民間保険の加入者については国は把握していないのです。

また、CMSの運営には病院団体の圧力が大きくかかっているようで、
評価指標の選定・公表も、あたり障りのない範囲に留まっています。
消費者の賢い選択よりも、病院のメンツを保つことが優先されている
状況にあるとのことです。


私のインターン先は病院団体からの圧力が少ないので、
比較的ラディカルな指標を出せる立ち位置にはいます。

ただ、CMSのように患者単位のデータを
取得できているわけではないので、
病院単位でいったん集計されたデータを分析せざるを得ません。


州や学会が特定の手術について細かいデータを取っていたりしますが、
結果が公表されなかったり、そもそもデータはほんの一部の
手術に限られます。


そのほか、民間団体が評価を試し見ていますが、
彼らはデータを売ることでビジネスを行っているので
多くの市民にはとっては結果や方法論はブラックボックスです。



このようなアメリカの現状を目の当たりにすると、
日本の厚労省が持つDPCデータの量、および
厚労省がHPで公表しているデータの粒度は実はかなりのもので、
アメリカでさえ到底達成できるものではないと思うのです
(イギリスなら可能かも)。

公表データは市民向けというほど分かりやすくはありませんし、
医療の質とは関係ない雑多なデータも多く含まれています。

それでも、病院のメンツをあまり気にせずに
積極的にデータを公表している姿勢にはかなり好感が持てます。

あとは、ポテンシャルとして、DPCの係数が
実はP4P (Pay for Performance)そのものに繋がりうる、
という可能性の大きさです。

今は複雑性指標や効率性指標といったものが係数として
考えられていますが、係数がもっとアウトカム寄りにシフトし、
「リスク調整後の死亡率」とかを組み込んでいくことで
良いアウトカムの病院に対して手厚く償還する、といったことも
近い将来可能になることと思います。


わくわくしますね~。

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