2009/11/30

末は、どうなるんでしょう

日本とアメリカの社会・文化の違いから、博士課程進学についてどうすべきか考えていましたが、昨日知り合いから良いアドバイスをいただき、何だか着地地点が見えてきた気がしました。


アメリカの修士課程に在籍して初めて痛感したのは、アメリカ流の学歴主義、特に博士信仰でした。博士は日本の場合、特に実務において「使えない」という烙印を押されてしまいがちですが、こちらでは様相が大分違っていて、私の観察では、「より正しい判断を下せる可能性の高い、その道の専門家」というかなりポジティブなイメージを持たれているように見えます。

実務に就くにしても、少しでも調査・研究的な要素が入ってくれば、博士の有無でかなり大きな違いが出てきます。リサーチ機関やシンクタンクであれば、修士はマネージャー止まり、ディレクター以降は博士のみ、ということは多々あります。学校名での区別もあるようですが、それ以上に、学士・修士・博士間の区別は厳然としていて、この事実については留学前に十分知っておくべきでした。

学問の奥深さも分かってきたところですし、こちらで就きたい仕事は最終的に博士を要求しているので、進学については真剣に考えているのですが、問題は、日本にうまく着地できるか、でした。4-5年の月日を費やして「使えない」の烙印を押されては相当センチメンタルです。

で、昨日知人からいただいた良いアドバイスというのは、「博士を取った後にしばらくアメリカで働いて、『博士を前面には出さずに』専門家として日本に着地するのが良いのでは」、ということでした。なるほどぉぉぉ、と唸った次第です。

というわけで、幾通りかの人生設計案の中では、今のところ、そういう方向に進みそうな予感、大です。国際保健の実務もやりたいですが、今はまだ時が熟していないようですし。あとは、アスパラ農家や南の島の豆腐屋も、死ぬ前にはやってみたいんですけどね、これは死ぬ前までにということで。

2009/11/09

医療改革法案、下院を通過

歴史的快挙、までほんとあと一歩です。

日本のインターネットのニュース上ではあまり扱いが大きくないので驚いてこれを書いています。こちらでは各紙1面の扱い。それくらい意義深い出来事でした。

上院とのすりあわせ次第ですが、無保険者は劇的に減り、保険会社は健康な顧客だけを選別できなくなる、そんな社会までほんともう少しです。

オバマ大統領、確実に「実績を残した」大統領として歴史に名を残すことでしょう。

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投票の様子
http://www.youtube.com/watch?v=AW62AcDO4fE

New York Times

abc NEWS

CNN

2009/11/07

IOM訪問と、縁と

医療安全や医療の質の分野においてInstitute of Medicine(IOM 米国医学研究所)の出した2つのレポート、"Too Err is Human"と"Crossing the Quality Chasm"の影響の大きさは強調してもし過ぎることが無いと言ってもいいのではないでしょうか。

私がCrossing the Quality Chasmの邦訳本に出会ったのは大学4年生の頃、大学の図書館ででした。最初は正論過ぎてピンと来ませんでしたが、キャリアの節々でちょくちょく読み返していくうちに、先見性を備えたレポートであることを認識させられました。

これらのレポートがあったからこそアメリカにおける医療の質関連の取り組みが大きく発展してきましたし、私の今のインターン先も、そもそもToo Err is Humanのレポートを受けて発足しています。これらのレポートがなければアメリカのヘルスケアの様子も大分違ったことでしょうし、私もアメリカに留学しなかったかも知れません。


さて、長い前置きになりましたが、先日学校の友達20数名と、そのIOMを訪れてきました。なんと研究所の所長も出迎えてくださり、というか、席の配置上、所長が私の隣に座って1時間半ほどお話をしてくださったのですが、(所長からの貴重なお話はまた別にするとして、)人生の巡り合わせの不思議さに思いを馳せざるを得ませんでした。


大学の図書館で本を手にしたときは、まさかこういう日が来るとは予想もしていませんでした。大げさに例えるなら、子供の頃からのマイケルジャクソンのファンが、マイケルと一緒にネバーランドで食事するような、そんな感覚です。


この不思議な巡り合わせから学べることを今は整理できませんし、うまく言葉にできませんが、少なくとも「(いい意味で)自分が予想しなかったようなことが将来起こりうる」ということは実感として得られました。

将来とてつもないことができるとは思いませんが、少なくとも「あれは自分には無理だろう」と試す前に諦めるのは意図して避けていきたいと思いました。最近は就活でも「この仕事、能力的に無理っぽい」と早々に萎縮すること多々なのですが、もう少し自由な心で行ってみていいのかも知れません。