2008/05/13

diaper's vicious cycle

どんなに患者さんの不快にならないようにしたとしても、
おむつ交換という行為そのものが持つ影響力というのは
大きいんだな、と改めて感じさせられました。

夕食でお茶を勧めたHさんは「夜中におしっこに行きたくなるから」、
夕食のほとんどを残したMさんは「後で大の方が出てしまいそうで」、
とのことでした。

そんなの気にしないで下さい、とは言ったものの、
気持ちは痛いほど伝わりました。


「迷惑になるから」という表向きのコトバ以上に、
食欲という根源的な欲求を多少削ってでも
尊厳が傷つかない時間を確保していたい、
そんな切実な思いが聞こえてくるようです。


と、ここまで書いてアタマを整理すると
ポイントは、おむつ交換時の対応の良し悪しではなく、
そもそもおむつの中にさせるか/させないか、かも知れません。

いくら心地よく対応しても、下の世話が人の手に渡った、
そのこと自体が問題なのではないでしょうか。

また、一人の患者さんのおむつを換えるだろう
10人前後のスタッフ全員が一年中そんな心地よい対応を
できるかと言えば、それは人の子ですから無理な話です。


要は、おむつの中にさせないこと、また、認識上も
「おむつ=安心して中に出していいもの」ではなく、
「最後の砦」として位置づけ直すことが必要なのでしょう。

そういう意味では患者さんの尿意・便意を事前に察して、
すぐにトイレに誘導していくというパターンの確立が
本当は目指すべきレベルなのでしょう。

実際はそこまで患者さんを一人一人観察している
余裕も無いのが実情ですが、
そもそも余裕の無さの原因の一つが「おむつ交換作業」
だったりするので、鶏が先か卵が先かじゃないですが、
この負のサイクルは逆転させる必要があると感じます。


本当に体調の優れない患者さんを除いて、
みなさんがお茶をガブガブ飲めて、
毎食完食できるようになること、
そんな日が待ち遠しいですね。

とりあえずは兆候を見分ける力を付けたいと思います。

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