2009/07/18

NQFの委員会傍聴@D.C. (1/2)

NQF(National Quality Forum)の委員会を傍聴するために
ワシントンDCへ出張してきました。

NQFは、以前の記事にも書きましたが、
医療の質の評価指標に お墨付きを与えるような機関です。

今回のミーティングはCSACと呼ばれる内部委員会の集まりで、
この委員会では
  • お墨付きを与えるにあたっての基準のあり方
  • お墨付きを与えた指標のメンテナンス
  • 新たな指標への対応
を行います。

この委員会での決定事項がBoard Meeting(役員会)で
諮られ、最終決定となるので、かなり重要な委員会です。

委員会のほぼ全てのプロセスは公にされており、
今回の委員会も一般人の参加が可能になっています(電話/傍聴)。
日本からでも電話での傍聴ができると思います。

委員会が設立されてから2~3年が経ち、局面としては、
新規の指標をどんどん承認するという当初のスタンスから、
より慎重に、基準やNQFそのもののあり方を再確認しながら
話を進めている印象でした。

指標の取捨選択に加えて、以下の点が、
今回の大きな論点となっていました。
どれも決定的な結論には至りませんでしたが。。
  • 500以上の指標があるが、使われていない指標を承認し続けるかどうか。
  • 指標のデータが公表(Public Reporting)されていない指標を承認する必要があるか。
  • また、そもそも何を以ってPublic Reportingにあたると解釈するのか。
  • 遂行率がどの病院も高水準になり、病院間で統計的な有意差が無くなるに至った指標を承認し続けるかどうか(ex. 急性心筋梗塞の入院時点におけるベータブロッカー処方等)
  • 似たような指標が提案された場合、最良を選ぶのか、選定基準を超えていれば似たような指標が混在していてもよいのか。 etc…

さすが、この分野で先進的なことだけあり、
日本では今後数年はぶち当たらない問題に思えます。

ただ、NQFの存在意義としてある程度深刻な問題があるとしたら、
それは現状の活動がやや指標にフォーカスしすぎている点です。

この点については、議長さんも最後の締めくくりとして、
「指標のことも大事だが、このような活動が実際に医療を変えるかどうかが一番大切だ…医療の質を向上させるための戦略を練る必要がある…どのように患者の行動を変えるか、どう関係者を本気にさせるか…そういう方向に活動の焦点をシフトしていかなければならない」
みたいなことを話していました。

個人的な問題意識もそういう方向へ向かって来ているので、
そうそうそうよね、と頷きながらの閉会でした。

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