2009/09/13

Obama's HCReform Cannot Mend Root Causes

The Obama's speech on health care reform on last Wednesday was somewhat compelling. There should be counterarguments on the policy level, but no one can deny the necessity of the change itself. Basically I second to his opinions. And I always want him to be the last President to discuss uninsured people.

However, as I read and hear about the reform, I cannot help but thinking that this reform does not have any concrete ideas to curve the sky-rocketing US health expenditure.

Covering uninsured is a very important issue, but it would not bring huge cost saving since the US people have already paid the "hidden" costs throug paying their ER visits. By reducing uninsured, we can "shift" this cost, but we cannot reduce it. The problem of uninsured is a purely moral and social justice issue.

Obama expects the positive impacts of health IT, but it is not a silver bullet. Certainly, CPOE (Computerized Physician Order Entry) has cumulative evidence in prevention of medical malpractices, but other technologies such as EMR (Electronic Medical Record) still have huge issues on their pros and cons.

So, my point is that Obama's focus is too myopic. Without changing the population's basic health status, the US cannot change anything. The problems in health care systems are very superficial.

Let's look at some basic stats. Among developled countries, the highest life expectancy is achieved by Japan. They live 4 years longer than American, while their expenditure on health per capita is just 39% of the US's.

Of course, there are lots of differences. Japan has an universal coverage, salaries of doctors and nurses are not as high as US, and more than 70% of hospitals with >400 beds have CPOE systems*. Still, these differences are superficial and seem to play very small roles.

Rather, I would say that the biggest difference between Japan and the US is brought by the difference in thier population's basic health status. In comparison with Japan, the US has... 70% higher cancer incidence (a 10 fold difference in male prostate cancer and a 3 fold difference in female breast cancer), and a 9 fold difference in obesity prevalence. The deaths caused by ischaemic heart diseases among standardized population is 3.7 times higher than that of Japan.


Some would attribute these discrepancies to genetics, and I do not deny the possibility of the explanation, but we need to be reminded that the longevity of Japanese is a post-war phenomenon. They had shorter life than American a century ago.

What the US needs to do to handle with the health care cost is to shift the population toward healthier status. Without doing this, the US would continue to face the difficulty of paying for healthcare.

The "true" health care reform should be a more comprehensive combination of changes in lifestyles and behaviors, public transportation, agricultural policies, social inequity and inequality, cultural values, and so on, "including" health care system changes.


2009/09/06

サマーインターン総括

今週から秋学期が始まりましたが、その前に少しだけ
夏のインターンを振り返ってみたいと思います。

やった仕事は主に下記の3つです。
  1. 調査関連資料の統合
  2. 病院から送られてきたデータの正確性の精査
  3. 病院のITシステム(オーダリングシステム)のパフォーマンス評価
1.に関しては、
複数のファイルに散らばった調査関連資料を
ひとつにまとめる、という比較的単純な作業でした。
前職で身に付けたワードのスキルがかなり活きました。

単調ではありましたが、指標の定義や評価方法について
一通り知ることができたのは大きな収穫です。

後は、ファイルの統合は、調査に協力している
全米1,100以上の病院の手間・煩雑さ・イライラの軽減に
繋がることは確実で、小さな改善ながら波及効果はそれなり、
ということでなかなかやりがいのある仕事でした。


2.に関しては、
色々考えさせられたというか。。

将来的には、病院からのデータ収集は、極力人の手を
介さない方法にしていかなければいけない、ということは
強く思いました。

調査データはすべて病院の自己申告に基づいているのですが、
そのデータの正確性にはかなり疑問を抱かざるを得ませんでした。

例えば、分子が分母より大きかったり、病院のサイズや機能から
想定される患者数よりも大幅に少ない/多い数を申告してきたり、と。

多くの間違いは、指標の定義の読み間違いから生じるのですが、
中には意図的と見られるものもあり。

最終的には、数百の病院にデータの再提出を求めましたが、
データ取得の自動化はやはりこの分野では大きな課題と言えます。


3.に関しては、
かなりエキサイティングな事実を発見することができました。
結果はそのうち、団体のホームページでプレスリリースされると思います。

分析したのは、各病院のオーダリングシステムが
きちんとアラートを出せているかどうかの調査結果です。
(例えば、医師がオーダーを出す段階で、薬と薬の相互作用や、
 アレルギーなどの警告情報を、適切に出せているかどうか)

オーダリングシステムのパフォーマンスについては
病院間でかなり大きな差が出たのですが、
今回はその差に直接関与してくる要因をあぶりだす事ができました。

たぶん、この手の結果が定量的なデータとして出るのは
アメリカでも初めてのことではないかと思います。

医療系のIT業界に与える影響もかなりのものになることが予想され、
この貴重なデータを組織としてどう活用していくか、
面白い展開になりそうです。

--

それ以外の点においても得ることの多かった今回のインターンです。

ネイティブに囲まれての仕事、日々の電話会議といったことを通じて、
渡米後一番ヒアリングが伸びた"感触"を得ました。
(といっても、相変わらず電話会議は9割方分からなかったのですが。)

後は、最後の1-2週間でようやく上記の仕事の成果が形になり、
それが評価されたことで、「アメリカでも(職種によっては)通用する」
という実感を得られたことでしょうか。


白人が9割以上の土地で、来た当初は萎縮してしまいましたが、
「完璧になれなくても何とかやっていけそうだな」という思いは、
心のどこかしらにあった(人種に根ざした)劣等感を追いやるに十分な
健全な見通しを与えてくれたと思います。

2009/07/21

評価指標選定の舞台裏

NQFの件で、もう少しだけ舞台裏を。
(といってもプロセスは公表されていますが、、。)

委員会を傍聴する前日に、私のアドバイザーの知人(元委員)から
「この委員会は、ソーセージを作るプロセスを見るようなもんだ
(like watching sausage getting made)」、と言われました。

つまり、ソーセージ自体は美味しいけれども、
それを作るプロセスはおどろおどろしいものであり、
「指標そのものに関心のある人間は失望させられる」と。

個人的には指標以外の部分、組織の合意形成過程にも
非常に興味があったので、実際垣間見ることができた
政治的な駆け引き等はとても興味深いと思いました。

特に、前回の記事の「生存率予測」についてですが、
この指標を保険の購入者サイドが提出した理由としては、
  • 不完全であっても消費者が求めているという確固たる使命感と、
  • 指標の使用が、精度の高い情報を保有しつつも公表していないSTS(胸部外科学会)への情報開示の圧力として機能しうるという読み がありました。
後者の読みは、まさにその通りに機能しているように見え、
実際に委員会の最中のパブリックコメントの時間に
STSからの電話傍聴者から、
「1年以内に何とかデータを公表する策を検討中だ。
(≒だから生存率予測の指標は落選させてくれ)」
との意見がありました。

消費者・保険の購入者サイドからしたら、
これだけでも御の字でしょう。

その後、STSの意向はともあれ、指標は採択され、
それに怒ったSTSや他の医療提供側の団体は、、、

と、これ以上は公表されておらず、
本当の舞台裏になってしまうので書けませんが、
色々噂が飛び交ってしまうような、大変な世界のようです。。

2009/07/18

NQFの委員会傍聴@D.C. (2/2)

前の記事で述べたことを知れただけでも個人的には
大きな収穫でしたが、一番の学びは
「委員の人選そのものが組織の性格を大きく規定する」
ということを実感できたことでしょうか。


今回、一連の指標候補の中で一番意見が割れたのは
「生存率予測」という、保険の購入者サイドの団体から
提案があった指標でした。

この指標は手術の死亡率と、その手術の実施件数を基に
生存率の将来予測値を割り出す仕組みですが、
死亡率を算出する際にリスク調整*がなされないことや、
手術の実施件数とアウトカムの関連性に関し
医療提供者側の委員が強い難色を示しました。

普通のアウトカム指標であれば、NQFは
リスク調整をすること、もしくは、
リスク調整をしない場合はその根拠を提出すること
を求めています。

指標の推進者サイドの委員は、「リスク調整をしなくても
リスク調整後と同程度の精度の高い予測値がでる」という
ミシガン大学の研究結果を引用していましたが、
それでも医療提供者側の委員の懸念は変わりませんでした。


そもそもこの指標が提言された背景には、
なんだかんだアメリカでは手術の死亡率に関する
全米レベルの公表データがない**という事実があり、
保険の購入者側が次善策として提案したのでした。


両者の溝は最後まで埋まらぬまま、ついに投票へ。


結果は、賛成8、反対6、棄権1(推進者自身)、
ということで、この指標はかろうじて委員会を通りました。

面白いのは、その票の内訳です。


賛成した8人の委員のバックグラウンドは
消費者団体、保険の購入者、
地域におけるQuality Improvement実施主体。

一方、反対した6人のバックグラウンドは、
医師の団体、病院団体、研究者でした。


不完全な指標でも情報を知りたい消費者・保険購入者と
完全でないなら評価されたくない医師・病院。
両者の立場の違いが鮮明に出た瞬間だったと思います。


そして、もっと重要なのは、委員の構成であって、
消費者・保険購入者がマジョリティを握っている現状に
おいては、何かぎりぎりの決断が迫られたときは
常に消費者サイドに有利な結論になる、ということです。


委員の人選そのものがいかに重要か、ということを
強く実感させられた出来事でした。


NQFがどの程度意図して現在の委員の構成比を決めたかは
分かりませんが、私には、
「色々な利害関係者の意見を聞きます、でも、
 最後は消費者を尊重します」というメッセージに聞こえました。***


翻って日本はどうでしょうか。

医療政策立案において重要な役割を果たす中医協については、
基本的に、保険者 対 医療提供者 という委員構成になっています。

この構成でどの程度患者の視点が織り込まれるのかという点は、
やや疑問には思います。


そういう意味においては、医療政策国民フォーラム
委員構成のバランスの良さは目を引くものがありました。

この団体がこれからどのようなアウトプットにを出して行くか、
実際に政策にどのような影響を与え始めるか、
行方に注目したいと思います。


注釈
*リスク調整…重症の患者さんを多く扱う病院と、そうでない病院を公平に評価するために、「どの病院も同じくくらい重症の患者を扱ってたらどうなってたか」という仮定(モデル)の下で死亡率等を計算しなおすこと。

**STS(胸部外科学会)や州政府、CMS等、おのおのでデータを持っていますが、公表されてなかったり、患者層が限られていたりで、全米レベルでのデータは無い状況です。

***(後日談:この委員会の上に位置づけられている役員会は医療提供者が過半数を握っているので、必ずしもNQFが消費者よりだとは言えないみたいです。)

NQFの委員会傍聴@D.C. (1/2)

NQF(National Quality Forum)の委員会を傍聴するために
ワシントンDCへ出張してきました。

NQFは、以前の記事にも書きましたが、
医療の質の評価指標に お墨付きを与えるような機関です。

今回のミーティングはCSACと呼ばれる内部委員会の集まりで、
この委員会では
  • お墨付きを与えるにあたっての基準のあり方
  • お墨付きを与えた指標のメンテナンス
  • 新たな指標への対応
を行います。

この委員会での決定事項がBoard Meeting(役員会)で
諮られ、最終決定となるので、かなり重要な委員会です。

委員会のほぼ全てのプロセスは公にされており、
今回の委員会も一般人の参加が可能になっています(電話/傍聴)。
日本からでも電話での傍聴ができると思います。

委員会が設立されてから2~3年が経ち、局面としては、
新規の指標をどんどん承認するという当初のスタンスから、
より慎重に、基準やNQFそのもののあり方を再確認しながら
話を進めている印象でした。

指標の取捨選択に加えて、以下の点が、
今回の大きな論点となっていました。
どれも決定的な結論には至りませんでしたが。。
  • 500以上の指標があるが、使われていない指標を承認し続けるかどうか。
  • 指標のデータが公表(Public Reporting)されていない指標を承認する必要があるか。
  • また、そもそも何を以ってPublic Reportingにあたると解釈するのか。
  • 遂行率がどの病院も高水準になり、病院間で統計的な有意差が無くなるに至った指標を承認し続けるかどうか(ex. 急性心筋梗塞の入院時点におけるベータブロッカー処方等)
  • 似たような指標が提案された場合、最良を選ぶのか、選定基準を超えていれば似たような指標が混在していてもよいのか。 etc…

さすが、この分野で先進的なことだけあり、
日本では今後数年はぶち当たらない問題に思えます。

ただ、NQFの存在意義としてある程度深刻な問題があるとしたら、
それは現状の活動がやや指標にフォーカスしすぎている点です。

この点については、議長さんも最後の締めくくりとして、
「指標のことも大事だが、このような活動が実際に医療を変えるかどうかが一番大切だ…医療の質を向上させるための戦略を練る必要がある…どのように患者の行動を変えるか、どう関係者を本気にさせるか…そういう方向に活動の焦点をシフトしていかなければならない」
みたいなことを話していました。

個人的な問題意識もそういう方向へ向かって来ているので、
そうそうそうよね、と頷きながらの閉会でした。

2009/07/10

これぞパブリックヘルス

アメリカの医療制度改革、と言えば今は
無保険者をどうカバーするかが最大の焦点ですが、
この政策にせよ、対症療法的と言えば対症療法的です。

もっと根本的なところで、どうすればアメリカ国民を健康にできるか、
という話が出ない限りはこの国の医療費はこれからも
圧倒的なスピードで上昇し続けるのでしょう。
(人口の34%が肥満で、そういう人たちが高齢期に
 差し掛かったら一体何が起こるんでしょうか。。)


そんな背景があるので、一連の医療改革話の中で
「公園や歩道を沢山作ろう」という動きが一部で出てきたのは
パブリックヘルス系の人間にとっては、おぉ!という感じです。

この未曾有の経済危機下で公園なんて作ってられっか、
なんてお叱りを受けそうですが笑。 
まぁピースフルでいいじゃないですか。
なんて、エビデンスはそれなりにあるんでしょうね、
即効性はないにせよ。

まぁ、日本もそうですが、親が子供を外で遊ばせなくなっている、
ということも聞くので、治安対策等とセットでやっていく必要も
あるでしょうが。

2009/07/02

医療の質と消費者の選択

医療の質の情報をオープンにすることの主な目的は
消費者・患者に賢い選択をしてもらうことですが、
実はこの点はアメリカでも思ったよりも上手くいっていない、
というか、良く分かっていないのが実情です。

ニューヨーク州では早くから心臓手術の成績を病院別・医師別で
実名公表していますが、当初予想されたような患者の大きな移動が
起こらなかった事実は、指標の推進者自身が認めています*。

ほとんどの場合、患者はデータの存在を知らないまま
手術に突入しているというのが現状です**。


ニューヨーク州のデータが、Googleで簡単に見つけられる場所に
あるとは思いませんが、仮に見つかりやすいところにあったところで
消費者・患者が病院選択に際し、そもそもインターネットを使うのか、
前提条件から疑ってみたほうがいいのでしょう。

ネット上にある、CMSのHospital Compareも、Leapfrogのデータも、
厚労省のDPCページも、現状では、普通の消費者・患者が
利用しているとは思えません。


消費者に情報を探す能力を高めてもらう、という何らかの政策や啓蒙も
いいのかも知れませんが、気が遠くなってしまいそうです。
むしろ、保険者や政府による規制の方が現実的な気がします。


保険者からの規制で言えば、例えば、メーン州の保険者が
質の悪い病院を保険のカバーから外したりしています。
担当者いわく、患者の受療行動に変化が出たそうです。
ドラスティック過ぎて日本では受け入れられないと思いますが。。

政府の規制で言えば、かかりつけ医から病院への患者紹介時に
何らかのインセンティブ・ディスインセンティブを付与することは
日本だったら実現できる可能性が高い気がします。


どんな方策を取るにせよ、
最終的には患者がいい病院で医療を受けないかぎり
「医療の質評価」業界の目的は達成されないわけで。

業界としても、質評価の方法論から、
質に基づく受療パターンの変容に活動の焦点を移していくことが
求められているのだと思います。


*Chassin, M. R., Hannan, E. L., & DeBuono, B. A. (1996). Benefits and hazards of reporting medical outcomes publicly. New England Journal of Medicine , 394-8.

**Schneider,E.C., Epstein, A.M. (1998)Use of public performance reports: a survey of patients. JAMA , 279(20): 1638-42.

2009/06/30

Departures/Okuribito

おくりびと
先週末、ボストンに一時帰省した際に観てきました。
(中西部の田舎では上映してないんです。。)


最後の場面の展開は中盤くらいで読めてしまいましたが、
そんなことは関係なく、本当に美しい映画でした。


封切してから大分たっているだけに、客席はかなりまばら、
小さな映画館で10数人くらいだったと思いますが、
他に観てたアメリカ人もかなりの率で撃沈。
みんなずるずるすすり泣きしていました。
笑いのツボも泣きのツボも、一緒なんですね。

家庭環境の複雑さからすれば、もしかしたら
アメリカ人の方がよりリアルな共感を覚えるのかも知れません。


韓国人の友達と観て、観終わってからすぐは
二人黙ってとぼとぼと歩いていましたが、気づいたら、
家族だとか愛についてだとか、話し込んでいました。
色々考えさせられますね。


個人的には、"誰かが亡くなった後でもその人と和解できる"
という前向きさが何よりの救いでした。

2009/06/25

日本は医療の質評価でアメリカを抜ける

そんな気がしました。

何をどう抜くんだ、って話ですが。

確かに、質評価の方法論はアメリカがかなり進んでいます。
何を分母に持ってきて、何を分子にして、とかの話については。
年数にして、20年くらい。

ただ、この方法論の多くはPublic Domain扱いということで
公にされているので、実はキャッチアップは不可能ではありません。

NQFが承認した指標群をベースにして、評価したい指標について
開発者が公表している詳細を探せばいいのです。


評価の方法論でキャッチアップできたら、
後は、実際の評価と、結果の活用です。

僕はここで日本がアメリカを抜ける、と確信しました。
なぜか。

それは、アメリカの医療制度がかなり
Fragmented(断片的)な状態になってしまっているからです。


例えば、厚労省にあたるCMSは、
何だかんだいって65歳以上の高齢者のデータしかもっていません。
民間保険の加入者については国は把握していないのです。

また、CMSの運営には病院団体の圧力が大きくかかっているようで、
評価指標の選定・公表も、あたり障りのない範囲に留まっています。
消費者の賢い選択よりも、病院のメンツを保つことが優先されている
状況にあるとのことです。


私のインターン先は病院団体からの圧力が少ないので、
比較的ラディカルな指標を出せる立ち位置にはいます。

ただ、CMSのように患者単位のデータを
取得できているわけではないので、
病院単位でいったん集計されたデータを分析せざるを得ません。


州や学会が特定の手術について細かいデータを取っていたりしますが、
結果が公表されなかったり、そもそもデータはほんの一部の
手術に限られます。


そのほか、民間団体が評価を試し見ていますが、
彼らはデータを売ることでビジネスを行っているので
多くの市民にはとっては結果や方法論はブラックボックスです。



このようなアメリカの現状を目の当たりにすると、
日本の厚労省が持つDPCデータの量、および
厚労省がHPで公表しているデータの粒度は実はかなりのもので、
アメリカでさえ到底達成できるものではないと思うのです
(イギリスなら可能かも)。

公表データは市民向けというほど分かりやすくはありませんし、
医療の質とは関係ない雑多なデータも多く含まれています。

それでも、病院のメンツをあまり気にせずに
積極的にデータを公表している姿勢にはかなり好感が持てます。

あとは、ポテンシャルとして、DPCの係数が
実はP4P (Pay for Performance)そのものに繋がりうる、
という可能性の大きさです。

今は複雑性指標や効率性指標といったものが係数として
考えられていますが、係数がもっとアウトカム寄りにシフトし、
「リスク調整後の死亡率」とかを組み込んでいくことで
良いアウトカムの病院に対して手厚く償還する、といったことも
近い将来可能になることと思います。


わくわくしますね~。

渡米1周年

お陰さまさまです。
日々お世話になってる方々には本当に感謝。

これからの見通しは不透明ですが、
それなりに清清しい達成感はあります。

そんなこんなで、ぱっと思いついた範囲で、
渡米2年目の目標:

-安定した心をもたらすような考え方をもっと身に付ける
-学校の活性化のために2つくらいイベントをする
-音楽を再開する

-学んだことが活かせる就職先を探す
-論文を書く
-リスニング力を向上させる≒ネイティブと臆せず話す

-マラソン1本走る

こんなところで。頑張りたいと思います。

2009/06/13

Day7-10: 2週間終了~

基本、取り掛かっている仕事は同じです。
色々な指標に触れる機会が多く、というか
ほぼそればかりなので、少しずつ知識も増えてきました。

各指標については、以下の3つの点がかなり事細かに
決められています。
  1. 測定対象の定義(病名・手術名、算入・除外要件)
  2. 測定の方法(期間、分子・分母、リスク要因)
  3. スコア化の方法(何らかの得点に換算する必要がある場合)
1.2合わせて、一つの指標について1ページ程度が主ですが、
中には数ページに亘ることもあります。

そんな指標が、NQFに認可されているだけで500あるんですから、
すごいノウハウの蓄積ですね~。

日本がこのような取り組みを実施する際にも大分参考になる、
というか、最初のうちはアメリカ(もしくはイギリス)で
蓄積されたノウハウを、日本に合う形で修正するのが
やはり近道な気がします。

日本でも、指標についてお墨付きを与えるような、
NQF的な役割を持つ団体があると
もう少しスムーズに事は進みそうですが。


日本の病院勤務の友達の
厚労省の提出義務に加え、各病院団体や研究団体、マスコミまで、
 定義がそれぞれバラバラで、根拠があるのかもわからない、
 何の効果を測るのかもわからない、調査依頼がホントによくきます
という嘆きが超リアルです。

個人的には、調査手法が科学的に頑健でないなら
質の測定は百害あって一利なし、とは思うのですが、ね。
(特に、病院間で比較をするような場合は)


Q&A
  • Q.質を評価する方のバックグラウンドは、医師や公衆衛生関連の方ですか?
  • A.オリジナルの指標を作ってる人たちの多くは、MDを持ちつつ大学等で研究しているような人たちがメインかと思います。後は、Health Services Research分野のPhDなど(MDに限らず)。質を評価する人たち、はもう何でもありというか、普通の学士からMBA, RN(看護師)などなど、様々なバックグラウンドからやってきますね。ちなみに、NQFのトップは医師ではなく、Health Services ResearchのPhD+MBAの人です。
  • Q.それ以外に、広く医療政策に関わる人たちのバックグラウンドはどういう方がいるのですか?
  • A.大統領・議員(民主・共和)、政府、学問・学会、職能団体(医師会)、関連団体(保険・製薬)、宗教団体、NPO、消費者・市民団体などなど、皆さんほんと多様で元気。多様で元気すぎて話がまとまらず、建国以来皆保険は実施できず、みたいな。日本は、アメリカに比較して、政策参加者のバックグラウンドの多様性や政策形成プロセスのオープンさが無いかもしれませんが、結果だけ見ればはるかに良い政策にたどり着いていると思います。

2009/06/10

Day6:ようやく使い物に

1週間前は右も左も、でしたが、
ようやく組織がやってることの全貌が見え、
仕事での貢献も、徐々にですが、出せるようになって来ました。

それに伴い、だんだん仕事も増えてきました。
  • Board Meetingに向けたパワーポイント作成
  • データベースの構築
  • ウェブサイト記事の整理
  • 指標のまとめ作成(指標の背景、メソドロジー等)
  • その他もろもろ

データベースに関しては、現在外注先が持っている
データをごっそりもらって内部分析向けに整えるというもの。

SAS(統計ソフト)で、とかいう話になりかけ
やや冷や汗でしたが、SPSSで勘弁してもらえそうです。

SASは学校で授業を取りましたが、まだまだ実践では
使えそうにないですね。。要修行です。


明日はオフィスに誰もいないので
湖のほとりで本でも読もうかな。 SASの!

2009/06/09

Day5: Board Meetingに向けた準備

忘れないうちに、、。

6月中旬のBoard Meetingに向けた準備をしていました。
Board Meetingは役員会/取締役会とでも訳せばいいのでしょうか。
ただ、日本の取締役会とは趣が異なるので、
日本の取締役会的な捕らえ方はできないようです。

非営利組織の最高意思決定機関で、
うちの組織の場合は20数名のメンバーの内、
CEOを除いては社外の人で構成されています。

このBoardがCEOに執行権を委譲する形で組織は動いているんですねぇ。
ちなみに、Boardの報酬は無償だとか。

会議は年4回(電話2回の対面2回)で、今回は対面の方です。
もっとも、会議は荒れる感じではないようで。一安心です。

2009/06/05

Day4:指標の絞込み

今日は一日、昨日挙げた課題の二つ目をひたすらやりました。

NQFに承認された指標はこの4月現在500超あって、
諸条件から、実現可能性の高そうな10程度まで絞りました。

明日は進捗をアドバイザーに相談して、
必要に応じて掘り下げたいと思います。


昼に湖のほとりでランチを取っていたら
真っ赤な鳥を見かけました。
人生初なので、かなりラッキーな気分になりましたが、
聞いてみたら「Cardinalではないか」とのこと。
当たり前ですが、新種じゃないんですねぇ。


遠いボストンでは今日が卒業式。
友達の晴れ姿を見られないのがほんと残念でなりません。
インターンの日程を決める前に式の日程を
チェックしておけば良かった。。。
ビデオが明日Uploadされるのですが、
見たら泣いてしまいそう。。。

2009/06/04

Day3:今後のタスク

インターンも3日目になり、自分の今後のタスクも
明確になってきました。

ひとつは、毎年の調査票を更新すること。
更新、といっても中身を書き換えるのではなく、
複数のファイルに散らばっている情報を
指標ごとに横串を通しなおす作業です。
(例えば、指標Aについて、定義・結果記入欄・
 スコアリングのアルゴリズム・FAQ等をまとめる。
 今は、それぞれが別ファイルなので。)

もうひとつは、NQFに承認された指標の中から、
次年度以降の調査に盛り込めそうな指標候補を
ピックアップする作業。
これは結構地道ながらもエキサイティングな仕事になりそうです。

選ばれた指標が全米規模で取得されることになる可能性があり、
それは直に現場への負担に結びつくこともあるので、
本当に意義のある指標を選ばなければなりません。
うーん、やりがいありますねぇ。

2009/06/03

Day2:指標の取りやすさ、オーダリングの評価

今日も充実した日でした。
でもさすがに午前いっぱい続いた電話会議は
集中力が擦り切れそうでした。


□指標のFeasibility
昨日も書きましたが、いくら優れた指標でも
取得に莫大な手間がかかるようでは現実的ではありません。

ということで、基本的に私のインターン先では
レセプトデータから取得できる指標に絞っています。

そんな中、今年度新たに加えた指標の中に、
カルテからしか取れない指標があることが判明しました。

全米でも最大級の病院チェーンの担当者から、
「3,000以上のカルテをレビューすることはできない」との
クレームが入った次第です。

対応方針はいくつか考えられますが、その指標を無くすか、
全数調査ではなくサンプリングでも良しとするか
のどちらかで決着するものと思われます。

それほど、指標の取りやすさ、は重要なのですね。

この指標はNQFの承認を得たものでしたが、
NQFのレビューの段階でもこのような問題の発生は
予想されていなかったみたいです。

さて、本当にすごいのはここから。

自組織での内輪な対応でとどまるかと思いきや、
「業界のスタンダード自体を変えよう」という方向に
話が行きました。

問題の根本的な所は、重要な指標にもかかわらず
一部の情報がカルテにしか載ってない点。

そこで、その情報が今後コード化されるように
医療情報の統一規格を作っている団体に働きかけることになり、
今月中旬にはそのための折衝をすることまで決まりました。

行動の素早さとともに、規格統一団体の柔軟性も
目を見張るものがあります。

後は、NQFへもこの指標の問題点をフィードバックするとのこと。

エラーがあれば、そこからレッスンを引き出し、
忘れる前に穴を塞ぐ。見事です。


□オーダリングシステムの評価
医療情報の電子化に関しては賛否両論がありますが(電子カルテ等)、
ことオーダリングシステムに限っては医療安全に貢献するという
エビデンスがかなりしっかりしているので
私のインターン先もその推進を後押ししています。

面白いのは、各病院が導入したオーダリングシステムを
横並びで評価しようという取り組み。

評価方法は
  1. 予め用意された患者データ10人分をダウンロード
  2. 定められたオーダー50通りをそのデータに適用
  3. 適切なアラートが出たかを評価(アレルギー・薬の組み合わせ等)
となっています。

一般には小児病院のほうが成績がいいそうです。容量用法等、
大人よりも注意を払ってシステムを構築しているからとのこと。

日本ではシステムを導入したらしたで、
それがどれくらい他と比べて優れているかも確認する機会が無いので
こういう取り組みは面白いなと思いました。

ベンダーの淘汰も進みそうですね。

2009/06/02

Day1: 評価指標作りのコンセンサス形成過程

不安は杞憂に終わり、初日から大興奮のインターンでした。
ケーススタディを抜け出た、リアルな体験にはしびれます。

今日からしばらくの間は友達向けの近況報告というよりも、
すこしマニアックな話になります。あしからず。


医療のアウトカム指標のコンセンサス形成
かつては色々な機関が独自にアウトカム指標を作っていましたが、
どうやら「指標についてNQFによるendorsement(承認)をもらう
→指標を活用する」という流れができつつあるようです。

NQF(National Quality Forum)とは官民連携で作られた
非営利の組織で、医療の質の評価と公表に関する
国家戦略を立てようとしています。

今は医療の質評価の文脈で最も影響力を持つ機関といっても
過言ではなさそうです。

ここで決まったことは概ねCMS(公的保険)の取り組みとして
採用されることになります(≒全米規模で実施)。


今日はそのNQFがいかに関係各者と指標に関するコンセンサスを
形成しているのかを目の当たりにしました。

私にも不明な点がありますが、概ね下記のようになっています。
  1. 専門家による委員会(技術的な側面の検討)
  2. 関係各者による委員会(ステークホルダーの意見交換)
  3. NQFメンバー/パブリックによるコメント
  4. NQFメンバーによる投票
  5. 承認委員会によるレビュー(重要性、妥当性、消費者の使い勝手、実現可能性)
  6. NQFの評議会での承認
ということで、今日は3と4の間の会議でした。

会議は電話会議で、医療提供者、学会からビジネスサイドまで
20以上の団体から担当の人が参加して
予め出揃ったコメントに関する意見を述べていました。

私のインターン先も指標の提案をしており、
それに対する反対意見も出ましたが、
何とか反論はクリアできたようでみなさん(といっても二人、)
ガッツポーズです。

あとから話を聞いて興味深かったのは、
関係各者によってフィロソフィーが全く違う中でも、
もう何年も意見交換しあっているので、
互いに譲歩をしてでも合意形成をしましょう、
という雰囲気・チームワークができあがっている、とのことでした。


質の評価指標Tips
  • 日本でもそうですが、プロセス指標からアウトカム指標へ重点を移しましょう、という動きは確実にあります。
  • あと興味深いのは、"Composite Measures"に注目が集まりつつある点です。これはいくつかの指標を、重み付け等した上で一つにまとめて質を総合評価しよう、という流れです。(もう少し勉強したらまたUpdateします)
  • その他、質評価のデータをどこから取るか、という点も面白い論点です。例えば心臓の手術にしてもある学会で形成された指標は個別のカルテからデータを取っていますが、ビジネスサイドはレセプトデータからで十分、と考えています。これに関しては、科学的な精密性と指標の活用可能性の間の綱引きになります。いくら精密でもデータ取得に莫大なコスト(主にマンパワー)がかかるなら国家的な取り組みにはなり得ません。また、簡便でも精密でなければ使えません。が、今のところは、カルテからデータ取得を、という流れにはならなそうな感触です。

□友達からのQ&A
  • Q. 労働者側で指標を作って、誰に対してどのように活用するのでしょうか?病院に対して、価格設定を下げてもらう感じなのでしょうか?
  • A. 労働者側で指標を作って、といっても、指標自体は大学かどこかの研究機関が請け負って作ることになるので、普通の指標と大きく異なるということはありません。病院が自分自身で活用できますし、消費者も使えます。病院に対して価格を下げるというよりも、医療の情報の透明性を上げて、従業員(患者)や企業(保険の購入者)が今よりも少しでも賢い選択して、いい病院へシフトすることを狙っています。もちろん、Pay for Performanceにも活用できるので、金銭的なインセンティブ・ディスインセンティブに結びつけることも可能です。

明日はまた別な会議のようで。
楽しみです。

2009/05/30

1年目、終了。希望と、不安と。

無事、9ヶ月の課程を乗り切り、1年目が終了しました。
1年プログラムの学生は、もう卒業です。

「アメリカの卒業式はCommencement(始まり)といって
 日本よりもっと前向きだよ」なんて話も聞きます。

でも、やっぱり卒業は卒業で、
みんな希望と不安と、友達との別れの寂しさが
複雑に入り混じった感情を抱いているようです。

この経済下で卒業後の行き先が確保できていない学生も多く、
何の所属もなく、急に社会の荒波にポンと放り込まれる不安は
痛いほど分かります。留学生であれば、なおさら。

みな、それぞれの場所に散って、しばらくは孤独な戦いを
強いられることになるのでしょう。

かくいう自分も、知り合いが一人もいない中西部に昨日来て、
来週からはアメリカに来て初めての就業体験。
「楽しみにしてる?」と聞かれたら「I'm so excited」とか
応えてきましたが、本音は不安が五分です。

自分を守らんがために不安が生じているのは分かっていても、
なかなかバカにはなり切るのは難しく、、、
まだまだ修行が足りません。

まぁうつうつと考えていても仕方ないので
気分転換までに自転車を手に入れて街を探検してきます!

2009/05/15

オバマの人選が学生に与える影響

学校で身近な存在の先生が、政策立案における重職を担う。
このことが学生に与える影響は多大なものではないでしょうか。

先月のHoward Koh先生に引き続き、
Paul Farmer先生がオバマ政権のヘルスケアにおける
重要なポジションに抜擢されるようです。

二人とも学生にすごい人気のある先生ですし、
アカデミックと実務を見事にこなしつつ、
常に大局観と志を忘れないような方。

こういう人選がある限り、アメリカの高等教育は強い、
そんな気がします。

学生は希望を持ってアカデミック(特に、PhD)に進めるでしょうし、
進んだ先のキャリア展望も日本よりはるかに
見通しが良さそうな気がします。